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眠れぬ夜のホンキートンクブルース 第二章~復活~

DVD鑑賞。 

これは生の舞台で観るのが何倍も楽しい世界だわ、と見始めてすぐに思った。

演者と客席との距離、反応で会場の空気がどんどん変わって、

その熱で倍々に楽しくなる舞台。

後からその存在を知ってDVDで観る際、悔しい思いをするのはこんな時だな。

さておき、DVDでの楽しみはなんと言っても、役者さんの顔が寄りで見られることです。会場の後方席ではとても見られない細かな表情や仕草を、何度でも、余すところなく見ることができること。

このお話はホストクラブが舞台なので、つまりあれです。

多種多様なイケメンたちが惜しげもなく投入されて、色んな顔を見せてくれるわけです。

 

太陽(野久保くん)、舞台役者さんされてたんだなあとびっくりした。後から出てくるジョジョメン5とは明らかに違う雰囲気。変な言い方だけど、落ち着いた大人感。

麟太郎(荒牧くん)、ついこの前の刀ステの印象があったから、幼い感じがするわーと思ったところからの投げキスで、ぐわっとなった。ぐわ。すみません。

ノンノ(服部くん)、最近武士ロック見返していたので、出てきた瞬間、てるりんー!(@ももいろゴタイロー)て、なった。相変わらずダンスキレキレね。

流星くん(河原田くん)は本当に綺麗なお顔だねぇ(近所のおばあちゃん)。

登場から良い子加減が滲み出ている。お客様への一礼が百貨店の店員さんみたいな腰の低さ。

義宗(青柳塁斗くん)、瞬平(増田裕生くん)は初見。テニスの王子様に出てたのか。

あのスペースでバック転する義宗すごい。身長もあって、ダンス上手で、見栄えがする人だな。瞬平、出てきた時からちゃらい雰囲気滲み出てた。

ジョジョメン5のダンス、それぞれのアピールが可愛い。

と言うか、既にここで、大人(太陽)と子供(翔・ジョジョメン5)の対比がはっきり出てるよね。単純に年齢的な若さもあるんだけど、温厚な執事と海でナンパしてる若い子たちくらい雰囲気に差がある。

そして暗転した舞台上、スポットライトを浴び、満を持して登場するホンキートンクナンバーワンホスト翔(ひろきすずき)。

真っ白なスーツ。外ハネの金髪。伏せ目がちの視線、天を指差す手をすっと口元に寄せて皆の視線を指先に集めるように流す、その際の流し目。

 

いきなりなんなの。

え、初っ端から観客の目潰しするとか、どういうことなの。

 

綺麗な顔って一種の凶器。プラス流し目って、お前は糸屋の娘か。目で殺すつもりか。

目が潰れるのは困るから少し遠目に見たいと思いつつ、やっぱり近くでも見たい。でもそうすると目が潰れるというジレンマ。

翔マジこええ、ナンバーワンホストすげええと仰け反りつつ鑑賞開始。

 

ものすごくざっくりしたあらすじ。

横浜にある、クラブホンキートンク

「疲れた女性を癒す」がモットーだったはずの場所は、今やすっかり変わり果てていた。

ナンバー1ホストの翔は、35以上は女だとは思わないと公言する売上至上主義のドSホスト。ジョジョメン5と呼ばれる取り巻きらと共に、ホンキートンクで我が物顔に振る舞っている。にもかかわらず、前ナンバー1ホストの太陽の存在が気に食わずなにかと突っかかり、店内では派閥ができていた。

そんな中、クリーンな横浜を目指す市長・日高美都(山田邦子)は、横浜から風俗店を一掃しようと画策。ホンキートンクも危機的な状況にある、というところからスタート。

その情報を掴んだ、ホンキートンク伝説のオーナー3人の内のふたり、フリージャーナリストの太一(水木英昭)と、ブロードウェイ帰りの政秀(津田英佑)は、ホンキートンクの危機を救うべく奔走する。

存在感抜群だが腹に一物ありそうな、ライバル店のナンバー1ホスト仁(兼崎健太郎)なども登場し、それぞれの欲と思惑が交錯し、ぶつかり、和解しながら、最終的に、ホストたちはホンキートンクを守るために皆で動き出す。

 

ところでこのお話の主役って、誰だったんだろうな。

太陽のナレーションでストーリーは進んでいって、太陽の悲しい過去が分かり、最後には奇跡が起こるんだから、基本的には太陽が主役なのかな。

でも、人間的な成長を遂げるのは明らかに翔なので、こちらも主軸っぽい。

DVDを買う前に、ちょろちょろと他人様の感想を拝読して回っていたのですが、その中でとてもよく見た、

「前半はどSでゲスなクズホスト。後半はただのすずきひろき」

の意味がものすごくよく分かりました。

翔のゲスな感じ、本当に突き抜けてて、初っ端はただの顔がいいだけの嫌な男なんですよ。顔はいいけど(大事なところ)。金のためなら飴もムチも自在に使い分けて、自分の顔の価値も十二分に分かっていて、存分に利用する。冷たい顔も甘い顔もお手の物。完全に女の子を見下してる。

紛れもないナンバー1の称号を得ているのに、元ナンバー1の太陽の存在に苛々して当り散らして、でも、太陽が自分の言葉に素直に従うとそれにまた強烈にプライドが傷つけられて逆切れするというめちゃくちゃ面倒臭い男。

自分にないものを太陽が持っていて、そのせいでいつかナンバー1の座を奪い返されると、半ば以上確信してたんだろうな翔は。太陽の穏やかで落ち着いた空気が余裕ぶって見えて、勝手に馬鹿にされているような気持ちになって、それに苛々してまた当り散らす。ライバル店のナンバー1ホスト仁が現れた時、「品のある立ち振る舞いに、余裕のある態度」って副店長が言ったとき、めちゃくちゃ目つき鋭くなってたしね。

自分の求めているものを相手が求めているとは限らない。そういうことに気づくことができない翔は、つまり子供なんだよね。

太陽は太陽で、ホンキートンクにしがみつく理由があって。

けれど、翔はただのクズじゃないんだよーということを、ジョジョメン5の流星くんが一生懸命我々に教えてくれるわけです。

「俺、翔のためならどんなことだってします!」

本当に、彼は翔のために一生懸命なんだよ。

翔がナンバー1であり続けるための方法を、仁に真っ直ぐ聞きに行ったり、翔の横暴さで客の女の子が傷ついた時には、翔のこと嫌いにならないでね、と必死にフォローしようとする。

その行動が、後にトラブルの引き金にもなるんだけど、彼の中の翔を助けたいという思いに嘘が微塵もない。

 

太一にホンキートンクに招かれて市長・日高美都がやって来た時、もちろん翔は彼女が望むような接客はできない。

挙げ句に、美都の言葉に煽られ、客である彼女を罵倒してしまう。

(でもここで美都に「歌って」、と頼む翔の「お・ね・が・い」はA・ZA・TO・I 。あれを回避できる人がいるだろうか。ここ、山田邦子さんの本領発揮というか、凄まじい勢いで物真似が(笑 この辺、生で見たかったよ-。物真似と言えば、翔たちの全然似てない金八先生の物真似とか笑った。全編通して隙あらばネタ挟んでくるから、忙しい。キムタクの真似、後からじわる。好き。太陽(野久保君)の物真似メドレーも凄かった。こんな面があるなんて、全然知らなかったなあ! と新鮮な驚き)

その時、美都が市長だと言うことが分かり、ホンキートンクは絶体絶命。

そこに颯爽と現れたのは、政秀ーーーーーーー!!!!!

伝説の男帰ってきたあああ! 時が止まったあああ!(笑

めっちゃ良い声。

笑えるくらい良い声で、歌いながら登場。

真打ちは遅れて登場する。すげえ、政秀さん。

政秀のお陰でぎりぎりピンチを回避したホンキートンク

お客様に二度とあんな態度をとるなと政秀に殴られた翔は、しかし「品がなくてお里が知れてる」と暴言を吐いた美都に謝罪を求めに行く。

「俺のお母さんに謝れ」と。

なにかしらわけありの過去があるんだろうなと思っていたら、流星と翔は児童養護施設で共に育ったという過去が明かされました。

 

その前に、翔に貢ぎ続けてきたのに、鬼畜接客受けてたせりなちゃんがホンキートンクで荒れる場面があるんだけど、私ここで泣いた…。

このお話って、女の子が本当に上手に黒子に徹していて、メインはホストたち、ていうのが徹底してるんだけど。ホンキートンクに癒されにきてた、キャバ嬢せりなちゃんの叫びは胸に迫った。一生懸命生活のために働いて、それを否定されて。そのせりなちゃんの叫びを受け止めて、どうか相手を許してあげてと懇願する太陽も切ないよな。

この混乱の最中に、義宗が仁から貰ったドラッグが美都の秘書に見つかり、義宗は翔からナンバー1の座を奪わんと、翔のドラッグだと嘘を吐く。更に、そこに翔に暴行されたと包帯ぐるぐる巻きの美都が乗り込んできて、翔は警察に連れて行かれてしまう。

 

あいつ一体なんだって市長に暴行なんか…と皆が頭を抱える中、流星が翔の過去を語り始める。

流星の両親はいないけれど、翔は両親のネグレクトにより児童養護施設に預けられた。おとなしくて、聞き分けも良くて、手の懸からない良い子だった翔。良い子にしていたら母親が迎えに来てくれると信じていた翔。それが叶わないと悟ってから、自暴自棄になった翔。喧嘩に明け暮れて、でも、誰かを苛めたりは決してしなかった翔。流星も翔に助けられたひとり。

35という女性の年齢にこだわるのは、自分を捨てた時の母親の年齢がそれだったから。

強烈に母親を意識して生きている翔くん。

女性を憎んで、食い物にするためにホストやってるわけじゃないのね。

クズな態度も、トラウマ起因で世の中に対して拗ねてるってことでいいのね。

翔の過去が知れたことで、太陽の翔への心の距離が急接近。

美都の怪我は狂言だということが警察で判明し、無事釈放された翔を抱き締め、「もういいんだ」と満面の笑み。

戸惑いまくった翔の「離さないと好きになるぞ」の威力。

 

そんな翔は、絶対に無実だからと警察に掛け合ってくれた政秀に、一気に態度が軟化。

誰かに守ってもらうこと、大事にしてもらうこと、に慣れていないんだなあと切なくなると同時に(流星は翔にとっては、まだ「自分が守る」枠なんだろうね)、そんなに素直で大丈夫なのかと心配になる勢いで、ころっと政秀に懐いた。

 政秀さんが歌った曲、そういえばお母さんが好きだった…あなたもしかして…。

「あなた僕のお父さんじゃ……!」

って、嬉しそうに言うところからの、「お父さんじゃないからね!」→しょんぼりコンボが可愛すぎる。

ありえなくもない、って突っ込み入った後に、小さく口元で「お父さん…」て呟く笑顔が可愛すぎる。

一度心を許すとどこまでも素直になって、ふにゃっと笑う顔のやさしいこと。

鈴木拡樹という人のことを説明する時に、静の人というか、笑顔のやさしそうな人だなあということが真っ先に浮かぶわけですが、この人って、本当に滲み出るようにやわらかい笑い方する人だなと思う。

女性でも男性でも、ふわっと笑った顔が問答無用でやさしさとやわらかさに満ちてる人いるじゃないですか。そういう感じ。伝わって。

で、後半、政秀に心を許した翔が、ただの礼儀正しいわんこ系兄ちゃんに変貌してからの笑顔はこれですよ。

前半は冷笑、嘲笑、嗤笑のオンパレード。かっこいいけど、半径3メートルくらい離れた場所からそっと遠目に眺めたい感じだったんですが、

後半はもう、笑顔の可愛いわんこ系イケメンホストだった。手負いの獣が初めてやさしくしてくれる人の存在を知って、隙あらばその懐に飛び込もうと尻尾振ってた。

クズでゲスなホスト翔くんは、心に傷を負った寂しがり屋のザコンお母さん思いの男の子だったわけです。

 翔がホストになったのは、一番街ぶらぶら歩いていた時に、ひときわ大きく輝くホンキートンクの看板の真ん中に自分の顔を飾りたいって思ったから。

 

皆がホストになった理由を語り合い、腹を割って話し合ったことで、皆の距離もぐっと縮まり、太陽の過去も語られる。

太陽には両親がおらず、お姉ちゃんがいた。

大好きなお姉ちゃんはけれどソープ嬢だった。ソープ嬢である姉のことを許すことができず、家に帰ることができなかった。次に家に帰ると、お姉ちゃんの姿はなくてそれっきり。一番街で一番大きな看板のあるホンキートンクで働いていれば、いつかお姉ちゃんに会えるんじゃないか、って。そのためにホンキートンクにしがみついて働いていると。

この話聞いてるときの翔の表情。

「見つかるといいですね、お姉さん」

太陽を見つめる目元のやさしいこと。お母さんを求めている自分と重ねたんだろうなあ。

「昔の翔に戻ったみたい! 素直になった!」

満面の笑みで流星が言って、心底嬉しそうににこにこしてるの、本当に頭撫でてやりたい…!

照れ屋な翔ぼっちゃんが、からかわれるの苦手なんですからやめてください! て、ぎこちない顔するのもごちそうさまです。店長はがんばれ。がんばれ。きっとそんなに嫌われてないはず。

 

どうにか美都を懐柔しようと、ホストたちが一丸となったホンキートンクは最後の勝負へ。

ここからはもう怒濤の展開で、美都がどうしてここまで執拗に風俗店を一掃しようとしているのかが明かされ、とある奇跡が起きるわけです。

仁さんはクズのプロフェッショナルであることが明かされますが、この人、なんていうか華のある人だよなあ。登場した時から、妙に存在感があって、かっこよくて目で追っちゃう。

最後のどたばた感は、とにかく楽しんで笑って、ハッピーエンドへの準備はいいか、お前らーーーー!!!! て感じ。

 すっかり素直になった翔が美都に頭を下げて言う。

ホンキートンクの看板に飾られた俺の写真を見て、いつかお母さんが会いに来てくれるかも。俺、お母さんに会いたいです」

どんな切ない声と顔で言うんだよ!

 ……うん、ホンキートンク、残すしかないでしょ。でしょ!?

美都さん、折れましたよ。

そして始まるエンディング。

なんか怒濤の展開の中で頭の整理が追いつかなくても、このエンディングが素敵で、皆が歌うの聞いてる内になんだか楽しくて幸せなもの見たなあ、という気持ちになれる素敵なエンディング。

皆が笑顔できらきらしてる。

だから見てるこっちもきらきらした気持ちで笑顔で終わる。

 

ホンキートンクは女性を癒す場所だけれど、そこで働く彼らをも癒す場所だった。

そんな、幸せなお話。

あー楽しかった!